最上義光歴史館/館長の写真日記 令和5年8月18日付け

最上義光歴史館
館長の写真日記 令和5年8月18日付け
 お盆もすぎ、夏休も残すところあとわずかとなりました。先日、夏休みの工作なのでしょうか、最上義光の兜型の貯金箱を作りたいので見学したい、との電話をいただきました。正面からの画像はネット上にもあるのですが。後面や頭頂部となると実物で確認していただくしかありません。
 気の利いた博物館などでは、デジタルアーカイヴとして、こうした立体物は3Dで閲覧できるようになっています。もっともネットショッピングなどでは、こうしたことは当たり前で、素材のディテールなども確認できます。実はこのようなデータは、機材的にはi-phoneがあれば、3D画像までつくれる時代になっています。
 話を兜に戻しますが、当館では、この兜のペーパークラフトを、館内で実施しているこども向けクイズの正解者に差し上げています。この他、クイズ景品として、オリジナルデザインのクリアファイル、指揮棒形の鉛筆、義光キャラクターシールなどからも選ぶことができます。
 また、当館のホームページには各種ペーパークラフトのデータがあり、無料でダウンロードできます。例えば太刀のペーパークラフトには、ちゃんと太刀が抜き差しできる拵(こしらえ)もついています。武将フィギュアなどに合せて楽しまれる方もいらっしゃるそうです。これとは別に、当館の売場では、甲冑のペーパークラフトも販売しています。最上義光や伊達政宗その他の甲冑ペーパークラフトをクリアファイル付(1,000円)で販売しています。
 さて、ペーパークラフトを某通販サイトで見ると、本当にいろいろなものを目にすることができます。姫路城とかサグラダファミリア寺院とかモンサンミッシェルとかノイシュバンシュタイン城とか、こうした建物ばかりではなくて、例えば、仏像とかスタジオジブリものとか、実際に着用できるペーパークラフトの甲冑もありました。
 サイトを眺めていてオッと思ったのが、戦国時代の合戦をパノラマで再現したペーパークラフト。「関ケ原の戦い」やら「桶狭間の戦い」やら「本能寺の変」もあり、とにかくその合戦場を舞台に100体以上の人物をひとつひとつ貼り付けるというもので圧巻です。いまどきCG動画のシミュレーションものもありそうですが、あえてペーパークラフトでというところがすばらしい。ただ、残念ながら「長谷堂合戦」はありません。
 さて、私が小学校の頃、雑誌の付録にはよくペーパークラフトがついてきて、その大半は怪獣ものだったり変身ものだったりしていたのですが、その中に「万国博大パノラマ」というのがありました。対象は小学2年生で、たまたまそんな年齢だったので手にすることができたものです。これは5年程前に出版された「学年誌が伝えた子ども文化史40〜49年編」という本にも付録としてついています。改めて見ると、会場図の上にそれぞれのパビリオンを差し込むだけの他愛のないものなのですが、当時の自分にとってはなかなか複雑で面白いものでした。
 特徴的なパビリオンとしては、「日本館」は、桜の花を模した五つのドラムタンクを合わせたようなものでしたが、大きすぎて万博終了後の転用ができず、万博終了後すぐに取り壊されました。会場一の高さがある「ソ連館」に対し、「アメリカ館」は地面を掘って屋根を膜構造とする会場一低いパビリオンにし、当時の冷戦というかライバル関係がそのまま持ち込まれていていました。個人的に印象に残っているのは、アルプスの樹氷を模したという「光の木」がある「スイス館」、北斎の「神奈川沖浪裏」にヒントを得たという吊り下げ構造の「オーストラリア館」、愛らしい形の「ガス・パビリオン」(後で知ったのですか、画家のミロはこのパビリオンが気に入り、この中の壁画を即興で描いたとか。現在、国立国際美術館の壁画に)などです。実は大阪万博には行ってもいないのですが、この付録で覚えました。
 個人的には平成になってからようやく「太陽の塔」だけは見ることができたのですが、現在はリニューアルして内部の見学ができるようになっています。また、今月には「EXPO‘70パビリオン」別館がオープンし、初代「黄金の顔」や当時のパビリオンの模型など約300点が展示されているそうです。
一方、「大阪・関西万博」は現在、各国の独自パビリオン56の予定のうち6か国の建設業者がようやく決定したばかりとか。もはやこうなったらパビリオンは、メタバースなどの仮想空間だけで間に合うんじゃないかと。ヴァーチャルだったらどんなデザインでも可能だし、展示内容も映像とかが大半では。まあ、そうなれば最上義光のアバターでも投入して。いやその前に、その仮想空間に当館の入口を設ける方が先ではないかと。ごもっともです。

■ない物ねだり その1 「山形ハワイドリームランド」
 個人的にこのペーパークラフトがあればと思うものがあります。それは黒川紀章設計「山形ハワイドリームランド」(1967年-1971年)。山形市飯田にあった建物で、多分、還暦以上の山形市民の方には、記憶にあるかと思います。
 藁ぶき屋根の建物が何件も残る道を行くと、その建物は突如出現します。城塞のように建物が取り囲むその内側には、観覧車とプールがあり、温泉、動物園、水族館もありました。しかし、冬には全く弱い(遊べない)建物でもあったそうです。あとさき関係なく、「あったらいいな」を形にしたら、5年と持ちませんでした。実は、近くに大型遊園地ができたため経営に行き詰まり、動物の餌代にも困り、飼育していた虎などを射殺、この事件が施設の致命傷ともなったといわれます。(館長裏日誌に続く)

■ない物ねだり その2 「飛び出す絵本」
 ペーパークラフトの親戚のようなものに「飛び出す絵本」というのがあります。この飛び出す絵本は昔、結構身近にあって、やはり怪獣ものとか変身ものとかが多かった気がしますが、今はこども向けだけではなく、有名なものでは「不思議の国のアリス」とかアート系までいろいろあります。意外に多いのが図鑑の類で、動物図鑑とか恐竜図鑑とか有名建築とかスターウォーズ図鑑なんかもあります。
 そこで欲しい飛び出す絵本ですが、今、考えているのは「とびだすヨシアキ」。まずは「騎馬像」、そして「兜」、「刀に指揮棒」、「長谷堂合戦図屏風」も飛び出せるかな。あとは「金箔瓦」ぐらいか。「とびだす金箔瓦」、シュールですなぁ。いっそこれはイヴ・クライン風にでも。クラインブルーを背景にとびだす金箔瓦、おおっ。すみません、余計な独り言です。


こども用クイズに全問正解した方への景品です




売場で扱っている甲冑ペーパークラフトは、豪華クリアファイル付きです




手作り感たっぷりの長谷堂合戦のジオラマやパノラマ図も展示しています。
夏休みの宿題の参考にも。
2023/08/18 17:00 (C) 最上義光歴史館