最上義光歴史館/館長の写真日記 令和5年7月23日付け
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最上義光歴史館
〒990-0046
山形県山形市大手町1-53
tel 023-625-7101
fax 023-625-7102
(
山形市文化振興事業団
)
館長の写真日記 令和5年7月23日付け
8月5、6、7日の3日間、「山形花笠まつり」が開催されます。今年は通常開催に戻るということで、コロナ禍前は当館の前の道路に露店が並び、夜中、地元の若者が集う場所ともなっていましたが、それも今年は復活かと。なお期間中は、当館の開館時間も1時間ばかり延長いたします。
さて、「山形花笠まつり」は、蔵王開山1,250年にあたる昭和38年に、記念イベントの一つとして誕生しました。よって、蔵王大権現を祭神としたそうです。花笠音頭の元唄は村山地方の「土突き唄」とされ、花笠音頭は、従来からの2歌詞に公募した13歌詞を加えた15歌詞でできています。ここで花笠音頭クイズです。1番目の歌詞は「そろたそろたよ、笠おどりそろた、秋の出穂よりまだ揃た」、続く2番は「蔵王権現さんも、」から始まりますが、さて、これに続く歌詞は何でしょう。答えは「お盆の夜は笠のおどりに浮かれでる」です。実はこれ山形市職員にとっても難問です。
さてさて、祭りと言えばまずは「祇園祭」でしょうか。その起源は疫神怨霊を鎮める御霊会(ごりょうえ)で、貞観11(869)年に全国に疫病が流行した時、その退散を祈願して、日本66カ国の数にちなみ66本の矛(ほこ)を立て,祇園精舎を守護する牛頭天王(ごずてんのう)を祀ったのが始まりといいます。
祇園祭は7月1日から31日にかけて、様々な祭礼が執り行われますが、観光客でにぎわうのは山鉾巡行の前後の約10日間です。山鉾の「山」というのは曳山(ひきやま)や山車(だし)などの言葉からもわかるとおり、人形やお囃子が乗り、曳子が綱で引く屋台のことで、これに「鉾」を立てたものが山鉾です。鉾ではなく、松や杉を立てる「山」もあります。山鉾は神霊の依代(よりしろ)であり、神霊は尖ったものを好むのだそうです。山鉾や山は豪華な装飾品で飾られています。これは疫神怨霊を惹きつけるためですが、山鉾を擁する各地区が豪華さを競った結果でもあるそうです。山鉾は「動く美術館」とも言われ、国の重要文化財に指定されているものもあります。
近年は、巡行前日の宵山(よいやま)が人気で、通りに出された山鉾には灯が燈され、観光客でも乗ることができるものもあります。中からは笛や太鼓、鉦(かね)の祇園囃子がコンチキチンと聞こえ、何とも風情があります。これに対し「山形花笠まつり」は、太鼓こそ生演奏ですが、カラオケに乗せて音頭が流れ、山車はトラックを飾り付ける言わば「動く電飾看板」といった体裁です。
一方、踊りと言えば「阿波踊り」でしょうか。「手を挙げて、脚を運べば阿波踊り」なのだそうですが、実はこれ、かなりハードな踊りです。男踊りはどれだけ腰を下げ低い姿勢で踊れるか、女踊りはどれだけ鼻緒の痛さを我慢してつま先立ちができるか、を競うものでもあるからです。阿波踊りは基本的に団体戦であり、その団体を「連」と言いますが、連では年間を通して練習しています。徳島市役所職員の新人研修では、阿波踊りが必須となっているとか。とにかく鍛えられ方が違います。ちなみに観客が飛び入り参加するのを「にわか連」と言うそうです。
また、阿波踊りの重要な要素となるのが鳴り物です。太鼓や笛、三味線などによる生演奏がなんとも魅力的で、こういうのはやはり生に限ります。これに囃子詞(はやしことば)がのります。「エライヤッチャ、エライヤッチャ、ヨイヨイヨイヨイ、踊る阿呆にみる阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」というのが有名ですが、実際は「ヤットサー、ア、ヤットヤット」という掛け声が基本で、これが「それゆけ〜、やれゆけ〜、まだまだだい、これからだい、それゆけヤットサー、やれゆけヤットサー、ヤットサー、ア、ヤットヤット」といった発展形になるそうです。また「一かけ二かけ三かけて、四(し)かけた踊りは止められぬ、五かけ六かけ七かけて、八(や)っぱり踊りは止められぬ」といった掛け声が女踊りから聞こえてきたりするとやはりグッときます。
これに対し「山形花笠まつり」は、1分足らずのフレーズを繰り返し踊るもので、掛け声も「チョイ、チョイ」と「ヤッショ、マカショ、シャンシャンシャン」だけを覚えればよし、というもので、まあ、30分も練習すれば、それなりに踊れます。衣装の決まり事なども特にないような気がします。実際、団体によっては、Tシャツ、短パンにハッピ程度のところもあり、一方では、チアリーダーやストリート系、コスプレや甲冑、着ぐるみもいます。公序良俗に反しない限りなんでもありかと。
いや、あの、だから、率直に申しますと、「山形花笠まつり」は、カラオケ音頭やトラック山車で盛り上げる、踊りも掛け声も衣装さえも、多分、日本で一番、敷居が低い祭りなのです。どうぞ皆さん、お気楽にご参観ください。飛び入りコーナーもありますよ。もちろん鍛え抜かれた踊りを行う団体(「四方山会」や「四面楚歌」、そして「自衛隊」の皆様など)もあり、これはまた別格で迫力が違います。
さて、当館の物販コーナーではミニ花笠(500円)というのを販売しています。武将に被せるのにピッタリとのことで、意外にもありがたいことです。ただ残念なのは、市販品で最上義光のフィギュアというは見当たらず、かわりに伊達政宗や徳川家康あたりに花笠を合わせてみるのも一興かと。他にも、夢と魔法の国のネズミちゃんとか、リボンをつけたネコちゃんとか、猫型ロボットとかもいけそうですが、これには「どこでも花笠」というのがあれば、いや、失礼しました。ちなみに最近、おサルさん、じゃなくってモンチッチと花笠とがコラボした商品が開発されました。おひとついかがでしょうか。
花笠×モンチッチ 4,950円 (写真協力:尚美堂)
★祇園祭ミニ知識 その1 お神輿(みこし)について
祇園祭は、7月1日からの各山鉾町で打合せを行う「吉符入」に始まり、7月31日の疫神社の鳥居に掲げられる茅の輪をくぐる「疫神社夏越祭」まで祭礼が続きます。
祇園祭では、山鉾が取り上げられがちですが、祭りの主役は神輿です。7月17日の山鉾巡行後の夕刻に、八坂神社で神幸祭が行なわれます。中御座・東御座・西御座(素戔嗚尊 (スサノヲノミコト)とその妻と子)の3基のお神輿が鴨川を越え、氏子のいる町中へ行くもので、山鉾巡行で疫神怨霊を惹きつけお清めした後に、この御輿で出向くわけです。この後、町中の御旅所に7日間滞在し、また御輿に乗って帰ります。この御旅所に無言で7日間通うと願いがかなうそうです。
17日の神幸祭では、八坂神社西楼門の祇園石段下の交差点で、3基の神輿が「ホイット、ホイット」の掛け声のもと高々と担ぎ上げられる「差し上げ」が行われます。これを見物しようと早くから交差点をはさんだ歩道側に待機していると、見回りをしている京都府警の警察官から「ここでは何もないよ」と言われたりします。しかしそれは、観光客に対する意図的な誤誘導らしく、そのまま居座るとそこがべスポジでした。
一方、24日の還幸祭では御旅所から八坂神社へ向かいます。0時頃から行われる「御神霊遷し」は、境内の灯りが消された暗闇の中、本殿へと御神霊が遷され、神秘的なものとなるそうです。
★祇園祭ミニ知識 その2 粽(ちまき)について
前祭宵山では、日が暮れると山鉾に吊られた駒形提灯に火が入り、笛や鉦の祇園囃子の音と共に祭りは盛り上がります。町会所には山鉾の御神体や懸装品(織物など)が飾られ、子どもたちがお守りや粽を販売する姿も見られます。粽を買うと鉾に乗れるものもあります。粽は祇園祭のときにだけ販売され、京都ではこれを一年間玄関先に飾ります。粽は販売する神社や山鋒の名が入っていますが、人気のある山鉾の粽は、早く売れきれます。今年はネットでの転売が問題になっていました。
2023/07/23 13:00 (C)
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