最上義光歴史館/最上義光連歌の世界� 〔昌甸邉徑�
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最上義光歴史館
〒990-0046
山形県山形市大手町1-53
tel 023-625-7101
fax 023-625-7102
(
山形市文化振興事業団
)
最上義光連歌の世界� 〔昌甸邉徑�
最上義光連歌の世界��
96 波も音そひかへる釣舟 喜吽
97 暮れはつる入江のむらは鐘なりて 景敏
98 やどりさだめぬ袖ぞものうき 義光
99 わかれつつまた誰をかはとひぬらん 紹由
慶長三年(一五九八)卯月十九日
賦何墻連歌 名残(なごり)の裏
義光の連歌を解読し、その作品の意図や背景となっている古典教養に言及したい。義光の句を意図を示すために、前句(直前の句)・打越(前句のさらに前の句)の内容を知る必要がある。よって、今回のように、二句前の96の句まで示すことがある。
96は、夕べに釣舟が自分の港へ帰る姿である。97は、その行く先である漁村が闇に沈もうとしている時に、寺から夕べを告げる鐘の音が響くとする体である。
96の世界の釣舟に乗っている人々は、なりわいのためではあるが、日々殺生を行うので、業の深いものとされた。97では、96に立脚して、「鐘の音」を響かせる。言うまでもなく、「鐘の音」は、罪業を滅消させるものであり、殺生と関わること大である。夕景の中、釈教・無常の世界が展開される。大むね叙景の句である。
98の句は、無常を背景とした叙景から、人物の独白の体に展ずる。この人物は、自分の運命を嘆く遊女である。大意は、「自分の住まい(=夫)を定めることが出来ない(=日々重ねる相手が代る)袖をつらく思う」ほど。
さらに具体的には、江口(大阪府淀川河口)などの遊女たちが想定される。すでに、平安中期に公任が編んだ「和漢朗詠集 遊女」に
白波のよするなぎさに世をすぐす 海人(あま)の子なれば宿もさだめず
とある。義光は傍線部を採ったわけである。
その他に、「新古今集 羇旅」の作がある。
天王寺へ詣で侍りけるに、にわかの雨の降りければ、江口に宿をかりけるに、貸し待らざりければ、よみ侍りける 西行
978 世の中をいとふまでこそかたからめ かりの宿(やどり)もをしむ君かな
返し 妙
979 世をいとふ人としきけば仮の宿に 心とむと思ふばかりぞ
世の中を仮の宿ととらえ、その世に生きることの難しさを、遊女を罪業とする妙は嘆いている。この贈答は、西行編と考えられていた説話集「撰集抄」・謡曲「江口」に取り入れられ、著名であった。97の無常を軸として、98では恋の情趣も加味されている。
義光の加味した恋の情趣をとらえた紹由は、99で遊女が「別れた男は、今日、一体どのような女のもとを尋ねるか」と嘆く姿を詠む。
このようにして、無常に立脚した叙景から恋の嘆きに、連歌は展開している。
■執筆:名子喜久雄(山形大学名誉教授)「歴史館だより��24」より
2017/06/01 16:12 (C)
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